シナリオ(嘘告知)


課長「で、お前はこの子を連れてきたのか」
修史「……はい、ガーディアンとして間違った行動かもしれません、だけど、俺は見過ごすことなんで出来ません!」
課長「しかしなぁ……」

課長と呼ばれる人物は、ジョリジョリと髭を撫でる。
困っている理由は、修史が連れてきた女性だった。

設子「修史。いいの、私は……所詮組織を裏切った者。今更行く宛がないから敵だった組織に入れてもらえるはずがない」

彼女は小刻みに震えていた。
しかし、アイギスの司令室は薄暗く他人からそれはわからなかった。
彼女にはもう修史しか居なかった。物心がつく頃から所属していた組織に裏切られ、命を狙われた。
彼女にとって組織自体が居場所であり、存在価値だった。
だから、今まで組織に尽くし、たくさんの人を騙し、殺してきた。
が、今は組織が見放したときに手を差し伸べてくれた修史以外、何もなかった。

修史「課長。お願いします」
課長「……」

もし、ここが普通の警備会社だったら人の情で認めたかもしれない。
が、ここはアイギスだ。世界各国の要人を護衛するのが仕事だ。
一瞬の判断も命取りになる。
敵のことを信じてはいけない。自分が聞いて、見て確かめたものしか信じられない。
それは数々の戦争を体験した課長も一緒だった。
だから、一筋縄では信じられない。

実はこの裏切りこそがフェイクで、修史を暗殺するための策かもしれない。
いや、アイギス内部の潜入するためのものかもしれない

経歴を見るに、設子という女性は性格さえも偽ることができるプロの暗殺者だ。
尚更信じることは難しかった。

結論の出ないまま、数分の時が過ぎてからだった。

?「ふ、地に落ちたわねSHIELD9。敵に情が移るなんてガーディアン失格よ」

薄暗い部屋の向こうから声がする。
どこか聞き覚えのある声だ。

課長「へ? だれ……えっあぁっ!」
修史「誰だ!?」
設子「えっ?」

修史は設子をかばうように上体を声のする方に向ける。

?「誰って……あり? この声聞き覚えないの?」

課長「おっお前……」
設子「!?」
修史「? いや、知らない」

課長と、設子はわかったらしい。が、修史だけはわからなかった。
?「あーそっか、本人は他人と違う声聞いてるからピンと来ないのか」
?「ちぇっ、頑張って似せたのになぁ……」

歩きながら声の主は近づいてきた。

修史「おっ、俺っ!?」
?「そう、俺。どう、にせものさん。本物と出会った気分は?」

声の主が悪そうにニヤッと笑う
が、その顔も紛れなく修史だった。

?「まあ、そんなことはどうでもいい、さて、どうしたものか」
修史「何がだ」
?「お前な、敵をここに連れてきてどうするんだ。アイギスの所在地バレちゃったんだぞ」
修史「設子はそんな人間じゃない。もう、組織とは決別したんだ」
?「……ふう、じゃあ、胸にに付けてるブローチを上げたときの設子と、お前を殺そうとした仮面をかぶったときの設子は今そこにいる設子じゃないのか?」
修史「それは、そうだが……でもっ!」

わざわざ回りくどい表現をする。 感謝の気持ちとしてあげたブローチは盗聴器になっていて修史を観察するものだったし、
本来の設子は仮面をかぶった無表情の暗殺者だった。
で、ここで震えている設子も同一人物だ。

?「まあ、直接聞くよ」

ガチャ

左腿に付いていたホルスターから拳銃を取り出す。
左手で持った拳銃をまっすぐ設子に向ける。

設子「っ!」
?「ゴメンな、コレも会社のため、修史のためなんだ」
修史「やめろっ!」

修史が跳びかかり拳銃を奪おうとする。

?「修史! 目を覚ませ! シスターリディア……いやティナとリディア、笹塚の時と一緒なんだぞ。相手は敵だ。容赦はするな」
?「いくら修史が信じても設子が信じてなければ意味が無いんだ。そして、人の心を知る方法など無い」

修史「だからって、消すのかよっ、俺は楯だ! 設子を守るって決めたんだ!」
修史「……虫のいい話ってことは十分わかってる。けど! お願いだ、設子だけは!」

?「……ごめん」

修史に似た人物は一瞬うつむき、数滴の液体を床に落とした後
修史を蹴りつけ後ろにふっ飛ばした。

修史「うぐっ」

?「設子。わかってるね」
設子「……っ」
?「……」
設子「修史、ごめんなさい。貴方まで迷惑をかけてしまった。さあ、偽物。やって」
修史「おい、設子! 何いってんだよ! 馬鹿な事は言うな!」

薄暗くて良く見えなかったが、設子の顔には涙の筋があった。
今は泣いてないが、裏切られて修史に慰められたときに泣いたものなんだろう。

?「ひとつ、聞く」

設子に目線を合わせずに話しかける。

?「設子は修史を愛しているか?」

設子「は?……」

?「最後の言葉だ、ちゃんと伝えてやれって言ってるんだ!」

初めて怒鳴った。
しかも、意外な質問で。

設子「わ、私は、修史を愛してます。信じてます」
設子「だから、修史の足枷になりたくない、なるぐらいだったらここで死にます」
設子「し、しんで……修史の為になるのだったら!」

また、頬に涙の筋ができた。

?「goodbye、設子」

パン。

クラッカの弾ける音がした。

修史「は、へっ?」
設子「……」

?「はい、課長さん。二人の交際認めてくれませんかねぇ。こんなに愛し合ってるんですよ」
?「リア充死ねばいいのに(ボソッ」

課長「ったく、誰もそこまでやれって言ってないぞ」

一部始終を声も出さず見ていた課長がようやく声を出す。

課長「だが、二人の気持ちはよくわかった」
ニマッと笑顔で答える。

?「もーわざわざ汚れ役買ってでたのに、褒め言葉もなしですかぁ?」
課長「いや、何も頼んでないし」
?「ははは、残業代……」
課長「つかねぇよ」

いきなり談笑し始める二人。
あっけに取られていた修史と設子も我に戻る。

修史「あのぉー今のなんだったんですか? っていうか、こいつ誰ですか?」

課長「え? あっ、そっか、修ちゃんには伝えてなかったんだね」


すいません、時間が遅いので次回に続きます。。。


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